寛太と僧侶


昔々ある村に寛太という怠け者がいた。
寛太は毎日毎日ゴロゴロして、全然働こうとはしなかった。
見るに見かねた母が
「寛太ぁー、いつまで寝とるんやー?はよ起きんしゃいっ」
こう言うと、寛太は
「寛太ぁー、いつまで寝とるんやー?はよ起きんしゃいっ」
と、母が言った言葉をそっくりそのまま真似して
またゴロゴロし始める。

「こらー寛太!!」
母が怒鳴る。

「こらー寛太!!」
寛太も怒鳴り返す。

こういったことが1日中繰り返される。
そしてそういった1日が何日も繰り返される・・・・・。

やがて母は困り果て、同じ事の繰り返しに疲れ果てた。
もう何も言う気がしなくなった。

そんなある日、この村に一人の僧侶がやってきた。
修行のために世界各地を旅していた若き僧侶であった。

寛太の母はこの僧侶に自分の息子の事情を話し
なんとかならないものかと相談した。

すると僧侶は、
「わかりました」
と一言だけつぶやき、寛太の家へと向かった。
そして寛太の寝ているそばに寄りこう言った。

「おれは寛太だー!!」


寛太は最初少し驚いた様子を見せたが、
「おれは寛太だー!!」
と、いつものように真似して叫んだ。
僧侶は次にこう言った。

「おれは今まで母ちゃんにいっぱい迷惑かけたけど
明日からは早起きして、畑仕事頑張るぞー!!
もうゴロゴロなんてしない。俺はこの村1番の
働き者になるっっ!!」





・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・この後
どんな状況になったのかは、皆さんのご想像におまかせしますが
寛太は、村の誰もが認める働き者に生まれ変わったそうです。



〜あとがき〜
さて、この若き僧侶。
後に名を残す賢者と育ってゆくのですが、この寛太の特徴に
ヒントを得て、相手の呪文をそっくりそのまま跳ね返す
必殺技を編み出すことに成功します。
魔法を跳ね返すその光の壁は

「マホカンタ(魔法寛太)」

と、名づけられ
強力な呪文を唱えるボス戦などを有利に戦えるよう
”やりこみ”の世界などで重宝されたそうです。


(おしまい)


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